⚊ 5th:陽:95
⚊ 4th:陽:94
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、94、63、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
同人(どうじん="Concording People"):交流、人との付き合い。 |
構成の解説
上卦(Upper trigram)
「☰ 乾(けん:Qian)」="Force":天・始まりのエネルギー・男性原理・積極・能動的
下卦(Lower trigram)
「☲ 離(り:Li)」="Radiance":太陽・火・文明・付着する
下にある「☲ 離(り:Li)」="Radiance"は火なので、上へ向かって燃えていき、上にある「☰ 乾(けん:Qian)」="Force"と交流する。
人との交流、人間関係、取引、タイアップ、集まりや催しやサークル活動など、仲間との交流などを意味する。
二番目にある「陰」以外はすべて「陽」である。
「陽」たちが唯一の「陰」を慕い合って集まって交流する形。
<䷇ 比(ひ="Grouping")>が、なにかにこちらから参加するという意味だった。
<䷌ 同人(どうじん="Concording People")>の場合は人との交流によって生じる人々の集まりというニュアンスで、人とどう付き合うかが焦点となる。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「広大な平原にてたくさんの人と交流するならば、いい状況になる。大きな川を徒歩で渡るような大冒険に出てもいい。正しく人とつきあえばうまくいく。」
<䷌ 同人(どうじん="Concording People")>とは人付き合いとか、人との交流を意味します。
卦(Hexagram)の中で62が唯一の「陰」です。
62は二番目の位置にいて中庸です。
上に95がいて、62と95は「陰」と「陽」が和合する正しい関係にあります。
62が、柔軟で正しい態度をもって君主である95と交流することで、上下の交流が起こります。
さらに62は女性でヒロインです。
五つの「陽」が彼女に惹かれて集まってきて、互いに交流するという形があり、大きな和合、大きな集合が起こるというイメージとなります。
やがて交流するのに集まってくる人の数が尋常ではなくなります。
交流相手である「☰ 乾(けん:Qian)」="Force"がスケールが大きい天なので、多くの人が集まって建物の内では収まりきらず、外に出て広大な平原で皆が集まり交流する、という壮大なイメージとなります。
卦(Hexagram)を人格として見ると、内面は知的な文明を持ち、外に向かっては積極的な人を意味します。
君子の正しい交流の仕方は、中庸に相手の話を受け入れて正しい相手と付き合うことです。
未来につながる人の交流はそのようであるべきです。
多くの人との交流が生まれれば、多く機会が生まれ、多くの情報が集まりますから、大きなプロジェクトを実行することもできます。
なのであなたは大きな川を徒歩で渉るというような冒険に出てもうまくいくのです。
現代というのは、インターネットの普及で、世界中の人とどこでもいつでも交流できる時代です。
交流するための手段がSNSなどに変化して行っても、人との交流の基本はこの卦(Hexagram)に書かれている通りで易経が成立した古代と変わりません。
多くの人々と交流するためには、いろんな人と偏見なく謙虚に付き合う必要があります。
バランス感覚をもって従順に、人の話をよく聴き、誰とでも先入観を持たずに付き合い、それぞれの立場や性質を受け入れていきましょう。
交流があるところでは、いろいろな人間関係が発生するでしょう。
いい関係もあれば、良くない関係もあるかもしれませんが、人との関係性を通じて、私たちは多くのことを学び、成長していきます。
易経の世界観では、世界はあらゆるものが「関わる」から、そこに動きが生じてすべてのものは生まれます。
交流がないところでは、動きは起こらず、新しいものは生まれず、発展性もまたありません。
あなたは今、多くの人と交流すべき時です。
この時期をうまく生かしましょう。
◇ひと言アドバイス(象)
大きな集まりを実現するには、テーマを決めて同じものを一つにまとめ、異なるものと分別する
この卦(Hexagram)は、下の火が上に昇る性質が、上にある天の性質と同じであるから交流が起こり人が集まる、という構造です。
人々が交流するには、なんらか同じ目的がなければなりません。
大きな集まりを実現するには、同じものどうしを一つにまとめ、異なるものと分別するという発想が必要です。
そしてそのためには交流し集まるためのテーマがなければなりません。
たとえばテニスサークルであれば、ともに集まりテニスを通して交流する、というのが目的で、テニスに関心がないなら集まってきませんし、テニスが交流のテーマです。
俳句の会なら俳句、コーラスクラブなら歌がテーマです。
テーマによって集まる人たちの属性や規模が決まってきます。
占ってこの卦(Hexagram)が出たら、まずは人と交流する上でのテーマを考えてみると良いでしょう。
爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)
⚊ 5th:陽:95
⚊ 4th:陽:94
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、94、63、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
◇1st 陽 初9(First9)
「彼は家の門を出たところで人との交流を開始する。まだまだ時間はかかるが問題ないだろう。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初9(First9)は「陽」で、活発に活動していくべき一番目の位置にいます。
彼は、まだ人との交流を始めたばかりです。
しかし、彼と対応する位置にいる94は初9(First9)と同じく「陽」ですので、対応関係が発生しません。
彼は自分の力で交流を発展させていくしかありません。まだまだ時間はかかります。
彼はまずは自宅の門を出て、家の外で交流、人付き合いを始める、というイメージです。
あなたはまだまだ交流範囲は広くありません。
ですが、積極的にいろんな人たちとの交流関係を作っていくならば少しずつ交流の輪は広がっていき、うまくいくでしょう。
◇2nd 陰 62
「彼女は同族や一族のものとばかり交流している。恥ずべきことである。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
62は、この爻(Line)では、卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)に描かれたヒロインとしての62とは違う人格で描かれています。
ここでは62は中庸ではあるものの、彼女は95に依存したネガティブな生き方をしています。
彼女は一族や同族とばかり付き合って、他のものとは付き合いません。
彼女の人付き合いは偏っているのです。
これでは彼女は自分の見識を広げていくことができませんから、恥ずべきことなのですが、気づきません。
この爻(Line)が出たら、あなたは交流があるだけまだ凶ではありませんが、いい状況ではないのは明白です。
◇3rd 陽 93
「彼は、想い人を奪おうとし、伏兵を草むらに隠して、高い丘にのぼって様子をうかがっている。だが、三年たっても兵を進めることはできないだろう。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
93は「陽」で、積極的な性格をしています。
ですが彼は中庸ではなく、少々強引な人物です。
彼と位置的に対応するのは上9(Upper9)ですが、93と上9(Upper9)はいずれも「陽」ですので対応関係が発生しません。
そこで93は隣にいる62と強引に結婚しようとします。
しかし62は対応関係にある95と相思相愛の関係です。
95は君主なので、93では力が及びません。
そこで93は伏兵を草むらに隠して、彼自身は高い丘に登り、95が失敗する機会をうかがいます。
しかし、三年たっても95と62と関係に亀裂は見られず、93は兵を出せません。
おそらく彼は永遠に兵を進めることはできないでしょう。
この爻(Line)が出たら、凶ではないとしても、あなたは無意味なことに時間を浪費しないほうがいいです。
◇4th 陽 94
「彼は、想い人を奪おうとする。彼は石垣に登ってライバルに攻撃をしかけようとするが、攻めるに攻めれない状況に気づきあきらめる。吉である。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
94も「陽」で、中庸ではなく。93に負けず劣らずの乱暴な人物です。
彼もまた位置的に対応する初9(First9)とは互いに「陽」でうまくいきません。
そこで彼もまた62と結婚しようとします。
しかし62は対応関係にある95と相思相愛の関係です。
さらに62の近くにいる93が間に入って、石垣のように94を邪魔します。
怒った94は、石垣、つまり93の上に乗って、93を攻撃しようとします。
しかし、94は本来はおとなしくする立場の四番目の位置にいるので少しは冷静です。
彼は93を倒しても、95は倒せないことを理解し、撤退します。
彼は手を引くことで破滅を逃れますから、吉となります。
占ってこの爻(Line)が出た場合、冷静になって勝ち目がないことからは手を引きましょう。
◇5th 陽 95
「彼は、想い人となかなか一緒になれないので、最初は泣きさけび、ようやく後には笑える日が来る。大軍を率いて敵対するものに打ち勝ち、ようやく想い人と会うことができる。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は「陽」で、君主が入るべき五番目の位置にいます。
彼は名実ともに王です。
95は62と相思相愛の関係にあるのですが、彼女に会おうとすると93、94が62を奪おうと邪魔します。
なので95はなかなか62と一緒になれません。
彼は最初は悲嘆にくれますが、後には晴れて62と一緒になれる日が来ます。
彼が62と一緒になるためには、大軍を率いて93と94を打ち破らねばなりません。
62はひたすらに彼を待ってくれています。
あなたは、交流を考える相手と一緒になるためには、邪魔者を倒さねばなりませんが、相手は待ってくれますのでうまくいくでしょう。
◇6th 陽 上9(Upper9)
「彼は、人と交流が難しい郊外の辺鄙なところにいる。自分から望んでそのようにしているのであるから、後悔することはない。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上9(Upper9)は「陽」で、この卦(Hexagram)の終極点にいます。
彼には対応する93がいるのですが、彼と93は両方が「陽」なのでうまくいきません。
彼は人付き合いを積極的にあきらめて、辺鄙なところに引きこもる隠者です。
ここは人がほとんど通らないような辺鄙な場所なので、誰とも交流のしようがない場所です。
自分から隠者になっているので、彼は後悔することはありません。
しかし、人の道とは、人とのつながりや交流のなかにこそ見出しせるものです。
なので上9(Upper9)のような生き方に対し易経は、人の道を得ているとはいいがたい、と評価します。
自分で望んで引きこもるならばあなたに後悔はないでしょう。
けれど、私たちは人と交流する中でいい思いもイヤな思いもするからこそ、成長するのです。
このことをよく考えてみましょう。
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