⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)
※上9(Upper9)、95、64、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
構成の解説
上卦(Upper trigram)は、
「☴ 巽(そん:Xun)」="Ground":風・木・中に入り込む動き
下卦(Lower trigram)は、
「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound":山・障壁・行き止まり
<漸(ぜん="Infiltrating")>は、水が浸していくように徐々に進んでいく事を意味する。
立ち止まって確認しつつ、相手の心に入り込んで順う。
確認しながら少しづつ進むという意味。
こうした進み方には派手さはないが、人間界では漸進でなければ得られぬこと、身につかぬことは多い。
水鳥が象徴生物として出てくる。
夏は北へ、冬は南へ渡る渡り鳥に、一歩一歩移動して行くこの卦(Hexagram)の哲学を投影する。
漸(ぜん="Infiltrating"):漸進、すぐには進めない時。象徴は水鳥。季節を待って渡る。 |
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「一歩一歩確実に進むのは、女が嫁ぐのに吉である。誠実さと大義があれば恩恵を受ける。」
水がゆっくりと浸透していくように、一歩一歩確実に前に進むのがこの卦(Hexagram)のテーマです。
確実に物事を進めていく姿勢を意味します。
派手さはないが着実で確実な進み方です。
慎重に立ち止まって、相手の様子を観察して、相手に合わせて進むのが<䷴ 漸(ぜん="Infiltrating")>の意味です。
一番この姿勢が求められる状況は、婚姻です。
なので、正式な手続きを履んで女性が嫁ぐのに吉という象徴的な判断がこの卦(Hexagram)では出てきます。
どこの国でも、婚礼の手続きは同じです。
結婚する相手を親に紹介し、立会人のもとで正式に婚約し、婚礼には知人や親族が集まり挨拶を交わします。
正式な手続きを経て女性が嫁ぐのはめでたいことです。
この卦(Hexagram)では、二番目から五番目までの爻(Line)において、「陰」「陽」が正しい位置にあります。
さらに上の中心である95と下の中心である62において、「陰」と「陽」が調和しています。
なのであなたの願いがかなう表象があります。
結婚は、正式な手続きを省略すると、後で問題が発生します。
結婚以外にも手続きが必要な事柄が、世の中にはたくさんあります。
この卦(Hexagram)が出たら、あなたが今やろうとしている仕事は、いろいろと手続きを必要とします。
手続きを一つ一つ確実に処理しながらこの仕事は進めてください。
焦ってはなりません。
ゆっくりと確実に仕事を処理していくことで、あなたの誠意や大義が周りに示されます。
時間はかかりますが、今回はゆっくりと物事を進めたほうが結果的にあなたに大きな利益があります。
結婚を占った場合、結婚するまでに時間はかかるかもしれませんが、焦らずに進めれば吉となるでしょう。
◇ひと言アドバイス(象)
少しづつ努力して人格や組織の改革を完成させなさい
この卦(Hexagram)は、山の上に木があります。
木は静かですが、少しづつ着実に成長し、それに合わせて山も少しずつ高くなります。
一歩一歩進むのがこの卦(Hexagram)のテーマです。
易経のアドバイスは、智慧を少しづつ増やしていくことで、秩序や礼儀を少しづつよくしなさい、というものです。
会社組織では、少しづつ賢明なスタッフを増やしていくことで、会社の秩序をよくします。
組織を改革していくためには、少しずつ問題点を改善していく必要があります。
個人では、少しづつ学んで知識や経験を増やしていくことで、人格や技能を完成させていきます。
知識、礼儀、技能などは、少しづつでなければ習得できません。
現代は、スピードだけが重視されがちです。
しかし、大事なことの多くは、一歩一歩進めなければ実現できません。
地味な努力で一歩づつできることを増やしていくのが、この卦(Hexagram)の推奨する態度です。
日々努力していきましょう。
爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)
⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)
※上9(Upper9)、95、64、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
◇1st 陰 初6(First6)
「水鳥の群れが水際までゆっくり進んで陸に上がり始めた。若者は危ういことがある。小言を言われそうであるが、大事にはいたらない。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初6(First6)は「陰」で、ここでは経験の浅い若者を意味します。
水鳥の群れが、隊列をなして進んできて、一羽づつ陸に上がり始めました。
初6(First6)はまだ若い水鳥です。
皆が上陸していくというのに彼は戸惑ってしまい、陸に上がれずにうろうろしていると、指導係の94が小言を言います。
彼は状況がわかっておらず、上陸をためらって小言を言われ、危ういですが、しかし漸進は、止まりながら確認して進むのが原則です。
そういう意味では彼は原則に忠実にやっているだけなので、叱られたとしても大きな問題にはなりません。
あなたはまだ新人で、組織のしきたりがわからず、上司から叱られます。
しかし、あなたが慎重にやっているのならば大きな問題はありません。
むしろ軽率に突進することの方が問題です。
気にしなくてよいでしょう。
◇2nd 陰 62
「一羽の水鳥が少しづつ進んで大きな岩の上にいる。安定した足場を得て楽しく餌を食べる。吉である。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
水鳥は徐々に進んで平たい大きな岩に上がりました。
足場がしっかりしているのは、彼が立場上ちゃんと役目を果たしていることを暗示します。
62は、君主である65の補佐役です。
彼は「陰(Yin)」で、目立ちませんが中庸で、95から信頼されている有能な補佐役です。
彼が楽しく飲み食いしている様子を見て、批判する人もいるかもしれません。
しかし彼は楽しく飲み食いしつつも補佐役として仕事はしっかりとこなしています。
彼自身にとっても組織全体にとっても吉となる仕事をしています。
この爻(Line)が出たら、あなたは役割が目立たないので、仕事をしないで遊んでいると誤解を受けるかもしれません。
でもあなたはしっかり役目を果たしていますから、何も問題はありません。
誤解を気にせずその調子でやることです。
◇3rd 陽 93
「水鳥はゆっくりと上陸する。この男は浮気して家庭に戻らず、その女は子供を身ごもっても育てない。状況は凶。そんな時、外敵が侵入する。敵を撃退するにはいい。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
水鳥がゆっくりと進んでいく状況描写でこの卦(Hexagram)は進行していきます。
水鳥の群れは少しづつ進んで、上陸しました。
93は、家庭はあるのですが、対応する妻である上9(Upper9)は彼と同じく「陽」であるため、一緒にいることができません。
そこで93は群れを離れ、近くにいた64を情婦として交情します。
しかし、情婦の64は、子供を身ごもりましたが、その子を育てようとしません。
凶としか言いようがない、なにも得るものがない状況です。
しかしその時、93が留守にしていた群れに外敵が侵攻してきます。
93は「陽」で、武力に長けています。
彼は軍を率いる責任者としては有能なので、外敵を撃退することはできるでしょう。
なんとも、すさまじいイメージです。
この爻(Line)が出たら、まずあなたは、自分が正しい所属を離れて孤立した状態であることを認識しましょう。
この状況では、あなたは身近な協力相手と仕事する機会があるかもしれませんが、正しい相手ではないので、成果が生まれても相手先はこれを破棄してしまいますから、いいことはありません。
あなたは、本来は元々所属していた組織でのみ、力を発揮できます。
今、あなたが所属していた組織は危機に陥っています。
あなたはその組織を救済することができます。
あなたの本質をよく考えて、どうするか決定してください。
◇4th 陰 64
「水鳥はだんだん進み、木にとまった。もし彼が角材の足場を得ることができれば、安心できるだろうから問題はなくなる。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
水鳥は、だんだん進んで木にとまりました。
木の枝は、丸みを帯びています。
本来は木にはとまらない水鳥にとっては、不安定で落ち着けません。
これは、64が「陰」で、力がないことに加え、対応関係にあるはずの初6(First6)も「陰」なので彼と対応しません。
64の立場は不安定なのです。
水鳥は足場として平らに削った角材にとまれるならば、状況は安定します。
これは、64の下にいる93です。
93は本来は64とは対応関係にありません。
しかし64と93は「陰」と「陽」で調和しますし、64は従順で、93は積極的です。
二人は互いにパートナーとなる可能性はあります。
この爻(Line)だ出たら、あなたは、本来正式なパートナーとなる相手が応じてくれないので、立場が不安定な状況にあります。
しかしあなたの近くに、協力してくれそうな相手がいます。
あなたはその相手に打診してみたらどうでしょうか。
その人物と協力関係を作れれば、今進めている案件は非常に安定した足場を得られますので、問題なく進めることができるでしょう。
◇5th 陽 95
「水鳥は丘陵まで進んだ。彼は敵と戦わねばならず、妻と三年も会えないので、妻はその間、子供を身ごもることができない。しかし、敵は最終的に彼には勝てない。吉となる。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は「陽」で、正しく五番目の位置にいます。
水鳥が丘陵に進んだということは、95が王位についたことを意味します。
95の妻は、62です。
彼らは「陰」と「陽」で調和し、相思相愛です。
95は62のところへ行こうとしますが、64と93が彼の邪魔をします。
彼らを討伐するのに95は三年かかり、その間、95は62の元に行けません。
当然、62は子供を授かることができません。
しかし、95は正当な王で、中庸の徳があり誠実です。
62も中庸の徳があり、95を待ち続けます。
64と93は、最終的に95には勝てません。
時間はかかりますが、95は62と一緒になることができて、ハッピーエンドになります。
この爻(Line)が出た場合、あなたは苦労してリーダーの地位に就いたとしても、邪魔が入り、なかなか正当なパートナーを得ることができません。
あなたは当面は邪魔を片付けることに忙殺され、成果をあげることができないでしょう。
しかし、あなたは希望を捨てないで、正式なパートナーとの事業を実現すべく努力すべきです。
相手もあなたを待っていてくれます。
最後にはハッピーエンドになるでしょう。
◇6th 陽 上9(Upper9)
「水鳥(waterfowl)は陸をさらに飛び越え、雲の上に姿を消した。その羽はこの水鳥(waterfowl)の伝説を伝えるシンボルとして長く儀礼で使われることになるだろう。吉である。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上9(Upper9)は<䷴ 漸(ぜん="Infiltrating")>の終極点を意味します。
水鳥はこれまで少しずつ進んできましたが、なかなか進めない時期は終わり、この水鳥(waterfowl)は雲の上に飛び去ります。
上9(Upper9)は、理想を追求していった結果として、その境地は俗人の及ばぬ次元へと到達し、すべてを超えました。
彼は伝説の人物となりました。
雲を飛び越えた水鳥(waterfowl)が伝説となり、その羽が神を祀る儀式に使われる、というイメージで、この卦(Hexagram)はハッピーエンドで終わります。
この爻(Line)が出たら、あなたが感じ考えることは、一般的な水準を越えてしまっていて、なかなか周囲から理解されないかもしれません。
ここでは上9(Upper9)に対応すべき93も「陽」なので対応しません。
これは、あなたが理解者のいない孤高の状況にいることを示します。
しかし、あなたはたとえ孤立し世間から消失するようであっても、その理想は貫き通すべきです。
あなたに正しさがあれば、いつかあなたの感じ考えた足跡は伝説となり、多くの人に影響を与え続けます。
あなたは人々から理解されぬとしても、開き直ってとことん信じることを貫き通すのもまたよろしいでしょう。
こういう開き直った態度をあなたがもてれば、吉となります。
信念を貫いたらよいです。
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