⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)
※上6(Upper6)、95、64、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
蹇(けん="Limping"):足なえ、苦悩した時の処世。 |
構成の解説
上卦(Upper trigram)
「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge":水・雨・雲・泉・危険・落とし穴
下卦(Lower trigram)
「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound":山・障壁・行き止まり
あなたが進んでいく前方に危険な落とし穴あるので、手前で止まる。
あなたはどうしたらいいか悩む。あなたの足はなえて苦悩する。
この卦(Hexagram)は、進みづらい状況にあって苦悩する時の処世を述べる。
<䷦ 蹇(けん="Limping")>とは、悩んで歩けなくなること。
悩みとは、先に障害があるから進めない状況のことである。
易経の表象では、困難を意味するものは多いが、それぞれがその困難さのシチュエーションが違う。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「あなたは助力者に出会える南西の方角に行ったほうがいい。東北の方角は行き止まりだからよくない。力ある実力者に援助を頼めば恩恵がある。慎重に行動するなら吉である。」
<䷦ 蹇(けん="Limping")>は「足をひきずる」意味です。
あなたが進もうにも足が動かず進めない状況です。
あなたは前に危険な落とし穴があるのを見て、躊躇して停止します。
状況的には良くないように見えます。
しかし危険を察知して立ち止まるのは適切です。
「西南に利あり。東北に利あらず。」というのは、そのままの方角の吉凶でもありますが、西南の方角は暖かい南の方角、東北の方角は寒く厳しい北の方角を意味します。
中国大陸では、上の方角は南、下の方角は北なのです。
古来都が置かれていた洛陽から見れば、北は寒冷な地域で、遊牧民族が動き回る危険地帯で行き止まりでした。中国では昔から、フロンティアとして可能性があったのは、温暖な土地が広がる南の方角でした。
だから中国の地図では必ず南が上に描かれています。
危険な状況においては、あなたはチャンスがあって援助者がいる方向を選択していかなければなりません。
厳しい方角を選んでは、行き詰まるだけです。
ここで、「西南の方角に行けば利益がある」とは、95に会って援助をお願いしなさい、ということ。
「東北(The north east)の方角」は、ここでは「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound"、これは山を意味していて、足が不自由な人には登れません。
困難を前にしているときは、あなたには実力者の助力がどうしても必要です。
なので「大人(Big man)を見るに利あり。」と易経はいいます。
実力者の助力を引き出すには、適切な行動をとることが重要です。
正しさとは、状況によって変わります。
今あなたがいる状況において正しく適切な行動とは何かを考えましょう。
◇ひと言アドバイス(象)
あなた自身に過失がなかったか、反省しよう
上の「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"も、下の「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound"も、困難を意味します。
こうした進みがたい困難な状況にあたっては、まずは状況のせいにするのではなく、常に自分を反省する態度が重要であると易経はアドバイスします。
なにも考えないで突っ込んでいくのではなくて、一歩引いて、立ち止まり、自分になにか問題がなかったかとつねに反省してみましょう。
あなたが反省を生かしていくのであれば、時間はかかってもダメージを最小限に抑えて、困難な時期をいずれ抜けることができます。
爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)
⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)
※上6(Upper6)、95、64、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
◇1st 陰 初6(First6)
「あなたは前に進もうとすれば悩む。いい状況が来るのを待つならば、栄誉を受ける。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初6(First6)は出発地点にいます。
彼は「陰」です。
彼は前進を期待されていますが実力が足りません。
彼は行動を起こそうとして大変に悩みます。
<䷦ 蹇(けん="Limping")>で示される困難な状況は打開するには、援助者がどうしても必要です。
しかし初6(First6)と対応する64も初6(First6)とおなじく「陰」です。
64も実力がないので、初6(First6)は援助を得られません。
こうした状況では、あなたは立ち止まっていい状況が来るのを待つしかないのです。
易経の思想は、いいことも悪いことも循環すると考えます。
あなたは今は動けませんが、状況が変われば動けるときも必ず来ます。
今はおとなしくして待つならば、エナジーを温存できます。
最後、あなたは栄誉が得られます。
◇2nd 陰 62
「窮地に陥った王を救おうと、家臣たちはひどく苦悩する。この苦悩は自分のためではないのであるが、立場上、そうすべきである。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
62は「陰」です。家臣を意味します。
対応関係にあるのは、95の王ですが、彼がいる五番目の位置は落とし穴の真ん中、王は最も困難な状況に陥っています。
さて、62は中庸です。
彼の役割として主君を救い出そうと奔走します。
大変な苦労をすることになりますが、これは自分のためではなく、その家臣としての立場から正しく道義をもって行っていることです。
救済が成功するかしないかは、ここでは問題ではありません。
62は自分の信念に従って行動しているので、王の救済に失敗したとしても後悔はありません。
困難を前にした場合の一つの生き方です。
◇3rd 陽 93
「彼は、誘いを受け入れて昇進するならば苦悩する。考え直して元の場所に戻れば、仲間に歓待されて居場所を得る。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
93は、下卦(Lower trigram)の最上位にいます。
彼は下の三つの爻(Line)の中では唯一「陽」です。
彼は仕事ができる人、下の二つの「陰」からも頼りにされています。
ところが93は上6(Upper6)上六と対応関係があり、上6(Upper6)からヘッドハンティングされて上6(Upper6)のもとへ行こうとします。
上6(Upper6)は地位がないばかりか、彼は「陰」です。だらしなくわがまま。
たとえるならば上6(Upper6)金は持っているけれど身勝手で常識がない投資家のようなもの。
93は上6(Upper6)のところに行き、大変な苦労をします。
なので、彼は考え改めてもといた場所に復帰します。
キャリアアップはできませんでしたが、かつての仲間たちから復帰を歓待され、安心できます。
あなたは昇進しようとして前に進んでも、向かった先の相手が悪ければ悲惨な結果となります。
元の場所にとどまるのが賢明です。
◇4th 陰 64
「あなたは一人で前に進もうとすれば苦悩する。後ろに戻れば共に進む仲間ができる。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
64は、状況に従うべき立場にいます。
彼は困難を打開する責任があるので行動を起こそうとします。
しかし、彼がいる四番目の位置は「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"の領域です。
彼はすでに危険な「落とし穴」の領域に入っています。
64は「陰」です。
彼の力は弱いので、悩み、立ち往生しています。
64がいったん引いて後ろへ下がると、そこには93がいます。
93は「陽」で、能力があります。
64は「陰」、93は「陽」なので、彼らは意気投合できます。
そこで、64は、93と力を合わせて困難な事態の打開に取り組みます。
あなたが困難な状況に悩んでも、独りでは弱いものです。
悩むときは、共に進む仲間がいれば大きな助けとなります。
◇5th 陽 95
「彼は困難の渦中にあり大いに悩む。しかし冷静にチャンスを待てば、友が助けにやってくる。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は危険な落とし穴の真ん中に落ちてしまっています。
彼は困難にはまった当事者ですから、大いに悩まざるを得ません。
しかし、95は、能力のある「陽」で、君主がいるべき五番目の位置にいます。
彼は中庸な名君です。
彼には冷静な判断ができますし、下には対応する62がいて、彼を助けようと努力します。
困難が大きいときは、あなたはいっさい行動せずに立ち止まり、状況が変化するのを待つのが適切です。
おとなしくしてエネルギー消耗を抑え、友が助けに来るのを待ちましょう。
親しい救済者が現れます。
状況変化を待ちましょう。
◇6th 陰 上6(Upper6)
「彼は進もうとすると完全に行き詰まり、悩む。しかたがないので後ろに戻ると、大きな助力者を得る。吉となる。真の実力者と出会えば恩恵を受ける。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上6(Upper6)は「陰」で、力がありません。
彼は<䷦ 蹇(けん="Limping")>の究極点にいて、もはやこれ以上なにもできません。
彼の命運は尽きたかに見えます。
しかたがないので、彼は来た道を戻り始めるのですが、そこには95がいます。
95は「陽」、中庸で聡明な君主です。
95は上6(Upper6)の窮状を聴いて、彼と共に困難な状況に立ち向かってくれます。
状況はいい結末に向かって一気に好転します。
力がある君主が上6(Upper6)を援助してくれているので、上6(Upper6)は世界そのものを救います。
上6(Upper6)と正式な対応関係にあるのは93です。
しかしこういう最終局面の困難な状況では、上6(Upper6)は本当に実力のある95と出会わねば世は救えません。
あなたは、今、困難な状況にいますが、実力と地位がある人物に援助を受けるべきです。
困難な悩みの時代はようやく終わろうとしています。
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