⚋ 3rd:陰:63
⚋ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)
随(ずい="Following"):自分から随う、相手に随わせる |
構成の解説
上卦(Upper trigram)
「☱ 兌(だ:Dui)」="exchange":水が流れ込みたまっている様子、沢・悦び・口
下卦(Lower trigram)
「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake":雷・地震・物事の胎動・妊娠
下で発生したエナジーが上へ進み、相手を悦ばせる。
こちらからの働きかけに、相手が従順に随って悦ぶ。
相互に天命に随うことで生まれるめでたい状況がこの卦(Hexagram)のイメージである。
基本的にはめでたい状況が訪れていることを示す卦(Hexagram)である。
この状況の恩恵を得るためには、相手にも、時局にも、運命にも随うことが要求されてる。
その判断は各自の自由意思の中ある。
タイミングの判断が重要な卦(Hexagram)である。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「あなたは大いに思うことがうまくいく。正しい在り方をするがよい。問題なく事は進む。」
この卦(Hexagram)は、「人に随う」ことであるとともに、「人を随わせる」という意味合いです。
下にある「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake"は、動いていくという意味。
自分から、相手に随って動く意味です。
上にある「☱ 兌(だ:Dui)」="exchange"は、下からの動きに随って悦ぶという意味です。
男性的なエナジーの動きが上昇し、相手が女性的にそれを受け止めて喜びます。
上と下が互いに相手に「随う」ことでめでたい状況が発生します。
ただし、上と下がお互いに相手に随うということが前提です。
そうであるならば、どんなことでもできる幸福な状況が訪れます。
民が君主に随って動き、君主が民に随って悦ぶならば、国は栄えます。
易経は、因果関係を重視します。
あらゆることは原因があって、結果があります。
易経に書かれている判断は、無条件でめでたい、ということはほぼなく、必ず「正しく行動すればうまくいく」などの条件が付随しています。
あらゆることは、原因があって、その結果があります。
易経の考え方では、運が良くなるためには、運を獲得する努力が必要です。
運を獲得するためには、本人の自由意思に基づいて行動する必要があります。
悪い判断であっても、それもまた条件付きで示されますので、変えることもできます。
未来は固定したものではなく、変えることができます。
易経は現状を客観的に示しますが、行動するための指針を提供します。
現在、あなたにはいい状況が来ていますのでチャンスを逃さないようにしましょう。
相手に随うのがここでは大切です。
◇ひと言アドバイス(象)
タイミングがまだ来ないならば、その状況に随って、なにもせず休息しなさい
沢の雷があるというこの卦(Hexagram)の形は、雷が沢に入って休息しているイメージです。
運を得るには大きな運気の流れ、天の運行に随わねばなりません。
日が暮れて暗くなれば、人は暗闇に入って休むように、タイミングが来ないうちに動いても、消耗するだけでなんの成果も得ることはできません。
タイミングがまだ来ないときは、その状況に随って、なにもせず休息しなさい、と易経はアドバイスします。
天の動き、運命の動きに随ってこそ、はじめて成果はあがるものです。
爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)
◇1st 陽 初9(First9)
「あなたは仕事先が変わることがあるが、正しい相手に随うならば吉。家の門を出て広くいろんな人と交わるならば成功するだろう。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初9(First9)は、随うことを意味するこの卦(Hexagram)の始まりで、人に随って影響を受けたことにより、仕事先が変わることがあるでしょう。
あなたの主義や考え方が他人に影響されて、生き方のパダライムが変化します。
なにごとも最初は誰かの真似から始まります。
影響を受けながら人は自分の本当の進むべき道を見出していくものです。
自分にいい意味での影響を与えてくれる相手に随うならば、世界が広がっていくので吉となります。
でも間違った相手に随ってついて行ってはなりません。
家の門を出て、つまりあなた自身の小さい殻から出て、広くいろんな人と交流しなさい、そうであれば見識が育ち、過失を犯すことはなくなるだろう、と易経は補足します。
随う相手を判断する能力を獲得するためには、いろんな人のいろんな意見を聞いて、世界を広げていくのが重要です。
◇2nd 陰 62
「彼女は、悪人に関わって、正しい相手を失ってしまう。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
62は「陰」で女性的なイメージです。
彼女には本来の相手である95がいます。
これが彼女にとっての正しい相手、つまり夫、あるいは本来の主人を意味します。
ですが、彼とは少し距離が遠く離れているので、近くにいる初9(First9)と不倫関係になってしまいます。
結果、本命の相手である95を失うことになってしまいます。
単身赴任で夫が外にいる間に、近所のろくでもない男と不倫して、夫と別れることになった女性です。
凶とは書かれませんが、本命の彼を失うのは彼女にとっていいことではありません。
あなたは本来の相手をないがしろにして別な相手と遊んでいるようならば、慎んで考え直したほうがいいでしょう。
男女関係に限らず、取引関係や職場の人間関係などに同じことが当てはまります。
◇3rd 陰 63
「彼女は、有力な男に随い、ろくでもない者を切り捨てる。この男からは、彼女が求めるものはみな手に入る。しかし彼女は慎重になるべきだ。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
63は、やはり「陰」で、女性的なイメージです。
この女性は、本来の相手は上6(Upper6)なのですが、相手も「陰」なので縁が発生しません。
彼女があたりを見回すと、若いろくでなしである初9(First9)と、社会的地位のある94がいます。
彼女は94に随うこととし、初9(First9)は切り捨てます。
94はりっぱな壮年の男のイメージ。
63は、求めるものをすべて彼から手に入れることができます。
しかし、94は彼女の正式な夫ではなく、あくまで彼女の愛人です。
彼女はいろいろと疑惑の目を向けられ、事態は微妙なことになっていきます。
なので、彼女は今はいい状況ではあるけれども、あくまでも正式な夫婦関係ではないということをふまえ、つつましく振る舞うようにしなさい、と易経は忠告を入れます。
これも、男女関係にとどまらず取引先や職場の人間関係その他に当てはめることができます。
この爻(Line)が出たらよく考えるべきです。
◇4th 陽 94
「あなたは、君主の命令に随って多くの利益を得る立場にいる。立場的には正しいが凶。あなた自身の真心や正道を証明できるならば問題ない。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
94は、上の65から宰相に任命されています。
95は「陽」で高い能力を持ち、任命されて権力を司る四番目の位置にいます。
彼は国の実権を握り、実力もあり、その権勢は君主をしのいでいるので、あらゆることが手に入ります。
彼は任命されて権力を行使していますので、正しい立場です。
しかし彼は下からはねたまれ、君主からは疑われる危うい立場でもあります。
なので彼は君主の臣下であるという大義を誠意をもって示し、また公共のために宰相の任務にあることを証明しなければなりません。
そうであれば、問題は起こってきませんし、国全体にとって利益となります。
あなたが組織内で重要な地位に就く場合、こうした配慮は非常に重要です。
◇5th 陽 95
「あなたは、実力があり、正しい君主である。めでたく吉である。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は「陽」で、君主の位置である五番目の位置に君臨します。
彼は中庸で聡明な君主です。
下には62が対応関係にありますが、62は「陰」なので95とは調和します。
正当な君主が、忠実な宰相と国を運営しますのでめでたく吉です。
彼は非常に恵まれていますが、随う時期ですので、君主である以上は国民の要望に随うべきです。
そうであれば国民も彼に随います。
随い、従われるのがこの卦(Hexagram)では重要です。
◇6th 陰 上6(Upper6)
「あなたは、捕らえられて縛られるような状況で相手に随う。西山(Xishan)に王が神を祀る際は、こうした神への随い方でよい。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上6(Upper6)は随うことを意味する卦(Hexagram)の終極点です。
一種の行き詰まりの状況です。
あなたは随うことに縛られてしまいました。
あたかも、相手に捕らえられて、縄で縛られて、さらにぐるぐる巻きにされ、相手とまったく離れられないような随い方です。
これはもう度を越しています。
西山(Xishan)とは岐山(Qíshān)といい、周の時代に王が神を祀った山です。
王が神を祀る場合は、自分を縛るようにして徹底的に神に随う姿勢を示す必要があり、このような随い方で正解です。
しかし、自分を押し殺して相手に随うというのでは、それは自分をも殺すこととなってしまいます。
随うという時期が限界に達しました。
ここからどうするのか?については、易経はなにも言いません。
行き詰まった状況を続けるも、随うのをやめて別な方向性を探るも、各自がその自由意思で判断しなければならぬ時期ですので、あなたはよくよく考えるべきです。
随、元(おお)いに亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。咎(とが)なし。
(随、元亨。利貞。无咎。)
初爻
初九、官渝(かわ)ることあり、貞なれば吉。門を出で交わるに功あり。
(初九、官有渝、貞吉。出門交有功。)
二爻
六二、小子に繋(かか)りて、丈夫を失う。
(六二、繋小子、失丈夫。)
三爻
六三、丈夫と繋(かか)わり、小を失う。随って求むるあれば得。貞に居るに利あり。
(六三、繋丈夫、失小子。随有求得。利居貞。)
四爻
九四、随って獲(え)るあり。貞しけれども凶。孚(まこと)あり、道に在ること以って明らかなれば、何の咎あらん。
(九四、随有獲。貞凶。有孚、在道以明、何咎。)
五爻
九五、嘉に孚あり。吉。
(九五、孚于嘉。吉。)
上爻
上六、之を拘(とら)え繋(くく)る。乃(すなわ)ち従って之を維(つな)ぐ。王用って西山に亨す。
(上六、拘繋之、乃従維之。王用亨于西山。)
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