⚊ 5th:陽:95
⚊ 4th:陰:64
⚋ 3rd:陰:63
⚊ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、64、63、62、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
屯(ちゅん="Sprouting"):芽生え、生みの苦しみ。 |
構成の解説
上卦(Upper trigram)
「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge":水・雨・雲・泉・危険・落とし穴
下卦(Lower trigram)
「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake":雷・地震・物事の胎動・妊娠
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「あなたの願いは大いに実現する。この状況にふさわしくふるまうなら恩恵を受ける。今はまだ動くべきではない。あなたの代行役をを任命するならば、恩恵を受ける。」
<䷂ 屯(ちゅん="Sprouting")>とは、芽生えを意味します。
下にある「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake"は、「陰」と「陽」のエナジーが混ざり合い、新しい物事が発生することを意味します。
植物の種が芽を出すイメージです。
しかし、上にある象徴、「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"は、危険な落とし穴。
植物の種が萌芽しますが、地中から顔を出さねば成長はできません。
地中から芽を出すということは、最初にしてもっとも困難な試練です。
すべての新しいものは、その始まりが最も困難なのです。
しかし新しい物事が発生するのは、創造的で発展性を秘めています。確かに生みの困難を乗り越える過程で、多くのことが準備されて、ようやく初めて物事は実現していきます。
生みの苦しみを乗り越えれば、あなたの事業は高みに昇り、雨を降らせ、世界に恵みを与えることでしょう。
なのであなたの願いが実現する、と易経は言います。
しかし、百里の道も一里からで、今はまだ成果が出るかでないかわからず、あなたにとって大事で微妙な時期です。
あなたはまだ積極的な行動を実行できる段階ではありません。
そこで、「今はまだあなたは積極的に行動してはならない」と易経は警告します。
まずは準備が優先です。
創業の準備で最も必要なことは、人事です。
役割分担をはっきりさせ、誰がどういう責任をもつかを割り振ります。
基本方針を明確にする必要もあります。
そういったことを、易経は「あなたの代行役をつとめる責任者を任命する(諸侯を任命すると利益がある)」と表現します。
下準備からしっかりやっていきましょう。
◇ひと言アドバイス(象)
最初に役割分担を決めて、計画をしっかり練ろう
<䷂ 屯(ちゅん="Sprouting")>は、恵みの雨をもたらす雨雲が空にありますが、まだ雨は降らない状況です。
物事には順番がありますから、まずは役割分担を決めて、計画をしっかりたてましょう。一つずつ整備していきましょう。
それが世を救うことにもつながります。
会社や組織の創業期、あるいは新しいプロジェクトの発足期ですので、まずは念入りな準備から始めましょう。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
⚊ 5th:陽:95
⚊ 4th:陰:64
⚋ 3rd:陰:63
⚊ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、64、63、62、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
◇1st 陽 初9=First9(初爻:陽位)
「あなたは、躊躇して立ち止まる。今は行動を慎み、今後の準備を進めれば恩恵を受ける。あなたの代役を務める責任者を任命すると恩恵を受ける。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初9(First9)は、この卦(Hexagram)の中心人物です。
創造的で前進する「陽」が、「陽」いるべき一番目の位置におり、性質と立場が合致した人物です。
下卦(Lower trigram)は「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake"であり、積極的に上に昇ろうとするエナジー。
初9(First9)は、そのエナジーそのもの。
彼は仕事を進めようとします。
が、しかし初9(First9)と対応関係にある64は「陰」で、初9(First9)とは気が合うものの、「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"の一部。
危険な落とし穴です。
この状況ではあなたは躊躇して前に進めません。
こういうときは、自分の立場や能力にふさわしい行動をとるべきです。
まずは最初に、役割分担を決めましょう。
あなたはタイアップ相手とよく話し合い、条件をはっきりと決めていくべきです。
初9(First9)は、高い能力と冷静な判断力があるにもかかわらず、社会の最下層の身分にいる人物です。
彼はすべての人々から慕われ、愛されますから、いつかはリーダーとなる人です。
なのでこの爻(Line)が出たら、あなたがリーダーシップをとってもいいでしょう。
◇二爻(「中」位置 陰位)
「彼女は、難しい状況が起こり、いきつもどりつする。彼女が乗る馬車は馬たちがばらけてしまい一向に前に進まない。彼女は若い男に追いかけられて混乱が生じている。彼は彼女を傷つけるつもりはなく、彼女と結婚したがっている。しかし彼女は正しい生き方を守り、若い男とは結婚しない。十年が経過した。混乱した状況は治まった。彼女は本来の相手と結婚する。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
62は「陰」で、「陰」が入るべき二番目の位置にいます。
62は冷静で正しく中庸な女性を女性です。
さて、62には結ばれるべき95がいて、二人は相思相愛です。
ところが近くにいる初9(First9)が横恋慕し、62に強烈なアプローチをしてきて、62は大混乱に陥ります。
混乱は続き、状況は一進一退、彼女が乗る馬車は馬たちがばらけてしまい一向に前に進みません。
初9(First9)は62と結婚したくて彼女を追いかけているだけ、彼は害意はないのです。
62は冷静な判断ができる女性ですので、あくまで正しい相手である95と結婚することを望み、初9(First9)とは結婚しません。
十年の月日が流れます。
状況は落ち着き、やがて本来の相手であった95が彼女を迎えに来ます。
こうしてようやく62は95に嫁ぎます。
占いはこの物語から判断してください。
◇3rd 陰 63(三爻:陽位)
「彼は鹿狩りに出掛けるが従者がいない。彼はただやみくもに林の中に突入していく。あなたは賢明ならば獲物をあきらめたほうがよほどいい。このまま進んでいけば大恥をかく。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
63は、積極的な行動を要求される三番目の位置にいます。ですが、63は判断力がなく優柔不断の「陰」です。63は中庸ではありません。
対応関係にある協力者は上6(Upper6)ですが、上6(Upper6)も「陰」です。上6(Upper6)は能力がないので、63は上6(Upper6)からは援助を受けることができません。
これはあたかも、従者がいない鹿狩りです。案内する従者がいないのに、鹿を追って林の中に突入していくような状況です。このままいけば林の中で道に迷い、あなたは大恥をかきます。
あなたが賢明ならば、獲物を追うことをあきらめるべきなのです。
自分の専門外の仕事をするときは、案内役がいないならば中止すべきです。冷静に判断してください。
◇4th 陰 64(四爻:陰位)
「彼女が乗る馬車は馬たちがばらけてしまい一向に前に進まない。彼女は誰と結婚するべきか迷って前に進めない。彼女は思い切って運命の相手と結婚するのであれば、大いにめでたい。彼女は大いなる恩恵をうける。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
64は「陰」で、「陰」が入るべき四番目の位置に正しく入っています。64は性質従順な女性を意味します。
対応関係で言えば、この女性は初9(First9)の男性とマッチしており、相思相愛関係になり得ます。初9(First9)は卦(Hexagram)の一番下の位置にいるので、身分が低い男です。
が、64のすぐ近くに、95がいます。彼も「陽」で彼女の仕事上の上司です。「陰」である64と「陽」である95は気が合います。
64は、二人の男のどちらと結婚すべきか悩みます。考えが錯綜して混乱する様はたとえるならば、彼女が乗る馬車は馬たちがばらけてしまい一向に前に進まない、というような状況です。
しかし、もともと彼女の運命の相手である縁ある初9(First9)の男は、64をもとめて上へ昇ってこようと努力しています。
彼女は高望みをするのではなく、初9(First9)を選ぶべきです。
あなたがそうした方向へ向かうならば結果は吉となります。
結婚に限らず、取引先を選ぶ場合でも同様です。
◇5th 陽 95(五爻:「中」位置:陽位で君位)
「彼は、施しを出し渋って窮地に陥っている。彼の立場や性質は正しく、小さいことをするならばいい結果になる。だが、大きいことをやろうとすれば凶。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は「陽」です。彼は正しく君位についていて、中庸ですから冷静な判断もできるのですが、上卦(Upper trigram)である「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"の穴にハマっています。
彼は困難な状況にいるので余裕がありません。民への施しも出し渋っています。
95と協力関係にあるのは62ですが、「陰」が「陰位」にいます。力不足であり、62では95を助けることはできません。
そうするうちに、一番下から発生した初9(First9)が勢力を拡大してきて人心はみな初9(First9)についてしまっております。
さて、こういう状況なので、95は小さい事業ならば実行していいでしょう。彼は性質は明るく、立場は正しいので、それなりにいい結果となります。
が、彼が大事業をやろうとすれば、どうやっても大失敗で凶、致命傷となりかねません。
情勢というものは、ただ頑張るだけではどうにもならぬこともあることを、良くわきまえるのは大切です。
◇6th 陰 上6=Upper6(上爻:陰位で無位)
「彼が乗る馬車は馬たちがばらけてしまい一向に前に進まない。彼は行き詰まって血の涙を流すような状況に陥る。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上6(Upper6)は力ない「陰」のくせに一番高いところに昇っています。
彼は上卦(Upper trigram)である『☵ 坎(かん:Kan)』="Gorge"の究極の崖っぷちに立たされています。
パートナーシップがあるはずの63は、上6(Upper6)と同じ「陰」で対応しません。
上6(Upper6)の部下たちはバラバラの方角に行こうとする馬のようで、統一した方向性を失っているので、なに一つ物事は進みません。
上6(Upper6)は恐れて憂い、血の涙を流すような状況ですから、彼はもはや長続くないでしょう。
易経では、時にこういう救いようのない判断が出ることがあります。
しかし、それはあくまでも、あなたが今の在り方で進むならば、という前提です。
未来とは実は確定したものではありません。
並行世界として、別の未来もまた存在するというのが易経の根本的な考え方です。
なので、こういう最悪の判断が出た場合は、あなたは根本的なところから自分を見直してみることです。
反省することで未来を変えるために易経は存在しています。
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