⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚋ 3rd:陰:63
⚊ 2nd:陽:92
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、64、63、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
節(せつ="Articulating"):節度、節約。 |
構成の解説
上卦(Upper trigram)「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge":水・雨・雲・泉・危険・落とし穴
下卦(Lower trigram)「☱ 兌(だ:Dui)」="exchange":水が流れ込みたまっている様子、沢・悦び・口
下に「☱ 兌(だ:Dui)」="exchange"があって川の瀬を意味し、上に「☵ 坎(かん:Kan)」="Gorge"があって水を意味する。
川に流れる水の量が限度を越えれば洪水が起きる。
<䷻ 節(せつ="Articulating")>は竹の節のことで、区切り、制度も意味する。
喜んで上に昇って行ったものが、落とし穴に落ち、止まることを覚える。
それが節度である。
自制、さらに社会的な意味での法制についてこの卦(Hexagram)は論じている。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「節度を持てばあなたの願いはかなう。ただし、苦節を正しいとは思わないほうがいい。」
この卦(Hexagram)は、「陽」と「陰」がそれぞれ三つずつでバランスがとれています。また上卦(Upper trigram)と下卦(Lower trigram)の中心にはそれぞれ「陽」が入っていますので、この卦(Hexagram)は健全で積極性があります。
物事がうまくいく可能性があります。
この卦(Hexagram)は、区切り、節度を意味します。
節度とは自分の能力の範囲を知るということです。
それはまた自分をコントロールするということでもありますし、度が過ぎたことをしないということでもありますし、相手が受け入れない範囲には踏み込まない賢明さでもあります。
「苦節を正しいと思わない方がいい」とも卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)には書かれています。
節度を守ろうとして耐えられない我慢をすることが苦節です。
苦節は行き詰まりであり、発展性がありません。
厳しすぎる法制度で社会が行き詰まるのも苦節です。
節度は「バランス」が大切なのです。
どこまでが節度で、どこからが苦節かは、あなた自身が考えるべきことです。
◇ひと言アドバイス(象)
制度をつくり、職位に応じて権限を定め、欲望に節度を持たせよう
<䷻ 節(せつ="Articulating")>では、沢の上に水があります。
水の量を定めないと、洪水が起こってしまいます。
人々がみな好きなことを要求したら、国は破綻してしまいます。
そこで、組織や国家を運営するには、制度をつくり、職位を定め、職位に応じて権限を定め、欲望に節度を持たせます。
易経は、制度を作る場合、徳があるかないかを基準としたらいいと言います。
節度の基準が制度であり法律です。
個人の生き方には節度を持ち、組織の運営には制度を決めましょう。
爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)
⚊ 5th:陽:95
⚋ 4th:陰:64
⚋ 3rd:陰:63
⚊ 2nd:陽:92
⚊ 1st:陽:初9(First9)
※上6(Upper6)、95、64、63、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
◇1st 陽 初9(First9)
「彼は、実力はありながら、自宅の庭から出ようとしない。状況を見極めようとしているのである。なにも問題はない。」
(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
初9(First9)は、出発点にいる「陽」です。
一番目の位置は「陽」が入るべき場所ですから、彼は正しい立場にいます。
彼は能力にも恵まれていますが、家の敷地内から出ようとはしません。
彼は今が出発すべき時かを節度をもって確認しようとしています。
これはこの卦(Hexagram)での正しい態度です。
最初の時ほど慎重であるべきです。
このようであればなにも問題はないでしょう。
◇2nd 陽 92
「彼は消極的で、出発の時機がすでにきているのに家の門から出ようとしない。凶。」
(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)
初9(First9)は、出発点にいたので慎重であるべきでした。
が、92は出発していなければならない状況にいます。
92は「陽」で能力もあります。
しかし彼がいる二番目の位置は、「陰」が入るべき場所。
彼は立場上、慎重さが求められますが、出発のチャンスを失おうとしています。
この爻(Line)が出たら、あなたは慎重さが求められる立場にいるかもしれませんが、状況を優先してください。
タイミングを失えば、凶となります。
◇3rd 陰 63
「彼は節制できず、だらしがない。そのため、嘆かなければならなくなる。彼自身の責任なので他人をとがめるわけにいかない。」
(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)
63は「陰」で、意志が弱くだらしない人です。
三番目の位置は「陽」が入るべき場所。
彼は本来は責任感を持って行動なければなりません。
しかし彼は怠け者なのでなにもしません。
当然、良くない状況が発生します。
63は、うまくいかなくないので愚痴ばかり言います。
でも彼自身に原因があります。
◇4th 陰 64
「あなたは、状況に従いながら、無理なく節度を保っている。願うことはかなうだろう。」
(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)
64は「陰」で、従順な性質です。
四番目の位置は「陰」が入るべき位置、従順さが求められる場所です。
彼は上司である95に従順に従いながら、節度を保っています。
彼は無理なことはしません。
こういう節度の保ち方ならば、思うことすべてうまくいくでしょう。
◇5th 陽 95
「彼は、自分自身に厳しく節度がある君主である。めでたい。政治を実行すればみなから尊敬されるだろう。」
(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)
95は「陽」です。
彼は積極的で能力がありますし、五番目の位置に正しく入っていて、中庸な君主です。
彼は普段からあえて自分に厳しく自己節制を課している人なので、部下に節度を求めてもみなが納得して従います。
当然ながら吉、物事はうまくいきます。
彼がいろいろと事業を進めていくならば、さらにみなから尊敬されることでしょう。
喜んで節度を保っているのは、吉です。
◇6th 陰 上6(Upper6)
「彼は節度を守って苦しむ。このような正しさを続ければ凶。反省して改めるならば、後悔しない。」
(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)
上6(Upper6)はこの卦(Hexagram)の終極点で、行き詰まりです。
上6(Upper6)は「陰」です。
彼は判断力がありませんので、節制しながら苦しんでいます。
いったいなんのために節制するのか、分からずしてやっているのです。
まさにこれでは苦節、目的なくただ節度を求めています。
彼は節制していても、誰からも尊敬されません。
節制しているという点は正しくても、凶です。
彼がもしよく反省して生き方を変えるならば、後悔しなくて済むでしょう。
易経は、柔軟なバランス感覚を重視します。
苦節は易経の価値観では悪しき一例なのです。
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