易経占いは、やり方に関する誤解も多い。
易経占いの原則をもう一度、確認してみたい。
また、シンボル(象徴)の解釈についても、状況に応じて考えていくことが大切だ。
易経占いのやり方でよく見られる誤解!易経のシンボル(象徴)は、どこを見るのか?
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易経占いでは、やり方の原則に沿って占いを行うことが大事! |
易経占いのやり方を誤解している人がけっこういる。
易経のシンボル(象徴)は、出た占いの結果によってどの場所を見るかが決まっている
また意味は状況に応じて判断しなければならない!
一年以上、このブログを運営しているけれども、易経占いのやり方に関する誤解はまだ意外と多いような気がしている。
そこで、今回はまず、易経占いの基本を少し復習してみよう。
まず、一番多いのは、易経で占った際、テキストのどの場所を読んで判断するのか?という点をもう一度わかりやすく解説してみたい。
あるクライアントの場合
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現代はビジネスが生き残るためには、様々な試行錯誤が必要だ。業態転換も一つの選択肢となるが・・・。 |
あるクライアントから、次のような占いを依頼された。
喫茶店を経営しています。
最近、いろんなものの物価が高騰し、なかなか利益が出ません。
値上げせざるを得ないのですが、値上げすれば顧客は離れてしまいますし、非常に難しいところです。
こうなってくると思い切った変革が必要だと思います。
いっそのこと、喫茶店ではなくラーメン屋に業態を変えてしまおうかと考えています。
うまくいくでしょうか?
この人は、易経占いを行って、次のような結果が出た。
出た卦(Hexagram):屯(ちゅん="Sprouting")
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NO.3 屯(ちゅん="Sprouting"):芽生え、生みの苦しみ |
変爻(Change):1st 陽 初9=First9(初爻:陽位)
みなさんは、この結果をどのように考えるであろうか?
易経占いの原則を再確認!
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ここで、易経占いの原則をもう一度確認してみよう! |
易経占いでは、三枚のコインを、六回下に落とす。
易経占いは、「変爻(Change)」が一回も出ていないか、一回だけ出た場合にのみ成立する。
それ以外の場合は、もう一度やり直す。
原則としては、以下のようになる。
「変爻(Change)」が一回も出ていない場合
卦辞が占いへの回答。
卦辞に付属する「ひと言アドバイス」と合わせて、結果を考える。
「変爻(Change)」が一回出た場合
六個ある「爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)」のうちの、「変爻(Change)」が出ている箇所が占いへの回答。
ただし、全体的な状況の参考として、「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」および「ひと言アドバイス」も参照する。
このブログの「屯(ちゅん="Sprouting")」のページをこのクライアントに示したところ、クライアントは、次のように言った。
「ああよかった、これって、今すぐラーメン屋に転業すればいい、ってことですね!」
という。
????
「ちょっと待ってください、そういう意味にはならないはずです。
あなたは、どういう理由で、今回の結果をそのように捉えるのでしょうか?」
と私は尋ねた。
すると彼は、こう言った。
「だって、この卦の意味って、”芽生える”でしょ?
卦辞にも、”あなたの願いは大いに実現する。この状況にふさわしくふるまうなら恩恵を受ける。”って書いてあるじゃありませんか?願いがかなうんだから、今すぐ事業転換すればいいのでしょう?」
「・・・・・」
易占いは、原則どおりに読む!
易経占いでは、結果に応じて読むべきテキストの箇所が決まっている! |
こうした誤解は、実は非常に多いと思う。
人間は、現実を考えるよりも、自分の理想ばかり見ようとするものだ。
誰でも、自分の考えを否定されるのは不得意である。
そうしたことが、まずは易経占いの結果に対する誤解の原因の一つになる。
易経占いの結果は、「原則通り」に読んでいくべきである。
これは、時には、自分の考えていることとは異なる状況が示されたりもするだろう。
しかし、易経占いとは、現状を的確に示すものだ。
現実を認識するためのものだと言っていい。
今回の場合、クライアントに示されていることは、まずは次のようなことである。
変爻(Change):1st 陽 初9=First9(初爻:陽位)
「あなたは、躊躇して立ち止まる。今は行動を慎み、今後の準備を進めれば恩恵を受ける。あなたの代役を務める責任者を任命すると恩恵を受ける。」
この内容は、「今すぐに、ラーメン屋を開業しなさい!」という意味であろうか???
易経が指示するところは、まずは「行動を慎みなさい」ということ。
つまり、今やっている商売がうまく行かないからといって、焦って行動してはならない。
喫茶店からラーメン屋への業態変更は、リスクを伴うことである。
クライアントは、これまでラーメン屋をやった経験もない。
彼はラーメン屋をやるならばやるで、用意周到に準備を進める必要がある。
彼がラーメン屋を運営するノウハウがないのであれば、できる人を探さなければならない。
またさらに、食材の仕入れはどうするのか?
店舗を改装する必要も出てくるし、そのためにはいったい資金はいくら必要なのか?
どういうラーメンを提供するのか?
こうしたことをすべて準備できるか、よくよく考えなければ、ラーメン屋など始めることはできない。
この爻辞は、そういうことを言っている。
また、クライアントの全体的な状況は「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」に示される。
「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」
「あなたの願いは大いに実現する。この状況にふさわしくふるまうなら恩恵を受ける。今はまだ動くべきではない。あなたの代行役をを任命するならば、恩恵を受ける。」
ラーメン屋という発想自体は、アイデアとしては悪くなさそうだ。
ただし、ここでも「代行役」が必要であるという内容が出てくる。
つまり、彼が自分でやろうとしても、ラーメン屋はできない。
ラーメン屋の責任者を務める人を探す必要がある。
そして、そういう人が見つかるならば、このアイデアはうまく行く。
ひと言アドバイス
「最初に役割分担を決めて、計画をしっかり練ろう」
ここでも、同じ意味が繰り返し出てきている。
必要なスタッフを探すところから計画をよく考えなさい、ということである。
逆に、適任者が見つからなかったり、細部まで計画を立てることができないのであるならば、このアイデアは実行すべきではない。
易経占いを行うならば、原則通りにやろう。
そして、あなたの思い通りにいかない内容が出ているとしても、謙虚に受け入れよう。
そうであれば、あなたは易経占いを用いることで、より賢明な判断を行うことができる。
易経占いの詳細については、これまでブログの中でもご紹介してきた。
改めて確認される場合は、以下のページをご参照いただきたい。
基本編2>易経占い方ガイド! |
基本編3>易経解読入門! |
易経占いのやり方!同じシンボル(象徴)でも状況に応じて判断は異なる!
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まったく同じシンボル(象徴)が出たとしても、結果は占う人によって異なる! |
易経占いにおける卦(Hexagram)は、シンボル(象徴)である以上、問う人の状況に応じて意味は無限に変化する。
今の自分の状況を振り返って、象徴の意味は解釈するべきだ。
まったく同じ結果が出た二人のクライアント
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状況の異なる二人のクライアント。易経占いでは同じ結果が出ている。しかし、結果に対する解釈はどうなる? |
みなさんに、面白い例をご紹介しておこう。
ここに、二人のクライアントが、それぞれ全く異なることで易経占いを行った。
クライアントA
事業がうまく行きません。
経費削減の努力をしてきましたが、赤字が続いており、こんなことならば、もう事業継続をあきらめてしまおうかな、などと思います。
でも、借り入れも残っているし、事業を継続することをあきらめても問題は解決しないかもしれないのですが。
どうしたらいいでしょう?
クライアントB
現在、高齢の両親の具合が悪くなり、徳島の実家にいます。
私はそれまで名古屋で妻子と妻の両親といっしょに生活していました。
名古屋でのそれまでの仕事で、子会社に出向になったのを機に、会社を退職しました。
かねてからの夢であった脱サラで輸入雑貨の店を名古屋で開業しようと思い、準備を進めていた矢先、母親が倒れ、父親も認知症となりました。
私はちょうど会社を辞めた直後だったので徳島に戻りました。
ところが、両親の状況が悪く、姉と妹はなにもしないため、私が引き続き徳島に滞在しつつ両親の介護をせざるを得ない状況となっております。
両親は資産を持っているため、私は介護している間は両親の資産運用をして両親の資産で生活はできています。
両親は、資産はすべて私に相続となるように手配するから、自分たちの世話をしてくれ、といいます。
しかし、これでは長年の夢であった店も開業できません。
もう資産などもらわなくてもいいので、両親は施設に預けて名古屋に戻りたいのですが、どうでしょうか?
この二人のクライアントは、状況も異なる。
ところが、易経占いをしてみたところ、二人とも同じ卦が出た。
出た卦(Hexagram):頤(い="Swallowing")
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NO.27 頤(い="Swallowing"):生業、養う |
変爻(Change):出ていない
「変爻(Change)」が出ていないため、この場合はクライアントAもクライアントBも、まったく同じ「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」と「ひと言アドバイス」によって占い結果を判断することになる。
この卦(Hexagram)の基本的な意味は、「生きていくための生業」。
シンボルとして、大きく開いた口がイメージされる。
このシンボルが出た場合は、基本的には自分の仕事や生きていく手段を考えるべき時であることを易経は示している。
「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」と「ひと言アドバイス」については、以下のようになっている。
「卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)」
「あなたは正しく仕事をしているならば吉である。生業、つまり自分がどうやって生計を立てているのかを、よくよく観察して自分の現状を考えてみたらよい。」
ひと言アドバイス
言葉を慎んで徳を養い、飲食を節制して健康を養おう
クライアントAの場合
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事業継続を巡る相談は、近年、非常に増えている。 |
クライアントAに関しては、現在は利益が出ず、逆に損失が発生する状況が続いている。
確かに、事業継続をあきらめて廃業するのも一つの方法である。
だが金融機関からの借り入れがまだ残っている。
実は、会社を設立して商売を始めること自体は簡単なのだ。
しかし、事業を終了するということは、非常に難しいことである。
特に、金融機関からの借り入れ返済が残っている場合、事態はそう簡単ではない。
法定清算人を立てて、事業を処分することになるのだが、金融機関から借り入れた資金については、一番の問題になる。
借金が消えるわけではないのだ。
もし、借金を消してしまいたければ、自己破産するしかないのだが、いずれにせよ個人の話ではないので清算人を立てねばならないし、処理にあたって弁護士を依頼すれば費用がさらに掛かる。
さらに、事業を終了した後は、どうやって生活するのか?
財産でもたくさん持っていれば、まだなんとかなるかもしれない。
だが、そうでない場合は、借金はそのまま残るわけだし、自己破産するにせよ弁護士費用だのいろいろかかるわけだし、生活していくにはお金もかかるし、八方ふさがりである。
易経は、以下のように言っているわけだ。
「事業終了するにせよ、その後、どうするんだい?
事業終了するにもお金もかかるし、あなた自身が食べていくためにはなにができるの?
そういうことを、総合的に考えたほうがいいんじゃないですか?
まだ、事業が完全に行き詰っていないのであれば、文句は言わず、節約倹約して、業績を好転させる方法を考えたほうがいいんじゃないんですか?」
「頤(い="Swallowing")」という卦(Hexagram)は、基本的には「どうやって生きていくのか?なにを仕事とするのか?」を問う。
クライアントAの場合は、ここでは現実逃避して事業終了するのではなく、まだできることがあるはずだから、苦境に立ち向かいなさい、という内容を易経は伝えているのである。
クライアントBの場合
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不本意な状況を、脱出したい。だが、そうすることが必ずしもいい結果にはならないかもしれない。 |
クライアントBの場合は、不本意な状況を両親から押し付けられている。
自分本来の計画を進めていきたいとこの人は思っているのだが、それができないので悩んでいる。
しかし、現在は両親の資産を運用することでお金には困っていない。
さらに、両親の資産を相続することにもなるので、さらにお金は入ってくる。
クライアントBは、新規で事業を起こしたいと考えているのだが、現在はアメリカの関税上乗せの問題もあるし、日本の景気もよくない。
易経が伝えているのは、以下のようなことである。
「あなたは、今、不本意ではあるけれども、実はとても恵まれた境遇にあるのだよ。
今のような時代は、新しい事業を起こすのはとても難しい。
下手に動けば、逆にお金を失うことになってしまうよ。
でも、今の状況ならば、生活していけるだけのお金もなんとかなるし、事業を開始するための資金も減らさずに済む。
自分の人生を考え、今後を考える時間も得ることができます。
こうした状況はめったにないですよ。
節約しながら、両親の世話をすればいいのではないですか?
親の世話をすることは、道理にかなったことですから、これも大きな仕事です。
こんな時代だから無理をして事業を起こして、健康を壊してもいいことでは決してない。
自分が生きていく上で、なにがメリットであるかをよくよく考えてみなさい」
状況に応じて、自分自身にとってのシンボル(象徴)の意味を探す!
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易経の結果は、シンボルとして示される。シンボルは、基本的な意味はあっても、固定された意味はない。 |
「どうやって生きていくのか?なにを仕事とするのか?」という問題は、個々人によって状況が違う。
このように、同じ結果が出たとしても、問う人の状況によって判断は正反対になることもしばしばだ。
クライアントAの場合は、事業を立ち直らせるべく、状況に立ち向かう努力が求められている。
逆に、クライアントBの場合は、下手に事業を始めるよりは、今は何もせずに状況に従ったほうがいい、という判断となる。
でも、基本的な卦(Hexagram)の意味は「なにを生業として生きていくかを考えてみなさい」というものである。
健康に留意し、節約を心掛けるのが前提となるのは、どういう状況でも変わらない。
易経のシンボル(象徴)においては、このように問う人自身が今どういう状況にいるかによって判断が異なることは多い。
易者は、それを判断する。
しかし、一人で易経占いを行う場合は、自分自身が今の自分を客観的に考えることが大切だ。
人生は、決まり切った答えがあるわけではない。
私たちは、決まった答えがない世界で生きている。
結果的にどうなろうと、自分の決断に納得することができるのが望ましい。
占いは、そのための手段に過ぎないのである。
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