易経占いでは、結果に微妙なことが書かれていて、判断に困る場合もある。
そんな場合、どのように考えたらよいのだろう?
【易経占いケースワーク!】易経占いで微妙な結果が出た場合の実例!
易経占いでは、吉凶判断をしかねる結果は多い。どう考えたらいいのか? |
私たちは占いを行う場合、結果を「幸運」か「不運」かで判断したがる。
しかし、私たちの住む人間世界はそれほど単純ではない。
易経占いは、長期間にわたる人間世界の観察から成立してきた。
ここには微妙な判断が求められる多くのケースが凝縮されている。
易経占いは、基本的に私たちに多くのことを考えさせる。
しかし、こうした象徴性の高い占いは、どう解釈し、判断するかは経験がないとわからない場合も多い。
読み解く人の感性も大きくかかわってくる。
あなたが易経で占いを行う場合、最初はよくわからないことも多いと思う。
占いの結果をどう判断するか?
それは実際の例を見ていくほうがよく理解できると思う。
今回から、様々なケースを具体例で解説していきたい。
さっそく、具体例で見ていこう。
ケース1:資金繰りが苦しい!親戚からの資金援助はどうなるか?
今回は、具体的な占いの内容から、易経占いで微妙な結果が出た場合の考え方を紹介していく。
最初の題材として取り上げる卦(Hexagram)は、「賁(ひ="Adorning")」。
賁(ひ="Adorning")は、全体的に微妙な内容が多い卦(Hexagram)である。
基本的には慎重に、真の実力を身に着けるために努力する必要があると考えるとよい。
クライアントの相談内容
売り上げが上がらない。資金繰りが苦しい。資金援助の話がある。しかし・・・。 |
私は自分で会社を経営しております。
現在は会社の経営がうまくいっておりません。
いい商品を開発しているつもりですが、なかなか思うように売り上げが上がりません。
資金繰りに苦しんでいます。
収益はなかなか思うように上がらないし、コストがかさむためスタッフも増やせません。
経営が苦しく困っていたところ、親戚から「困っているならば、援助をしてやろうか?」との提案を受けました。
この提案が可能ならば非常に助かるし、新しい事業展開もできるかもしれないと思い、相手には「ぜひお願いします!」と伝えました。
ところが親戚は、援助してやると言っているものの、「今、株が下がっているからもう少し様子を見てから」とか、「円安だから時期が良くない」などといい、具体的な話になるとはぐらかされているようにも見えます。
提案を受けてからもう三年になります。
この申し出は、当てにしていていいものなのでしょうか?
易経占いの結果
卦(Hexagram):賁(ひ="Adorning")
変爻(Change):出ていない。
NO.22 賁(ひ="Adorning"):装飾、虚飾、世間体 |
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「あなたは外見だけはいいので思うことはうまくいくだろう。少しだけなにかを実行するのであれば。大きなことはするべきではない。」
一言アドバイス
できることを少しづつ進めていく
占い結果の分析
この象徴の基本的な意味は、「装飾」とか「世間体」とかを意味する。
基本的にはあまりいい意味はない。
「装飾」は、うわべの体裁である。
きらびやかな演劇の舞台も、裏から見れば粗末なもので、この卦(Hexagram)には、外面はよいが実体がない、という印象が付きまとう。
さて、クライアントについて考えてみよう。
この方は、ご自分でも言っているように、事業が現在うまくいっていない。
収益が上がらないのは、商品が売れないからだ。
資金繰りに苦しんでいるので、親戚から援助を受けたいと思っている。
しかし、資金援助を受ければ問題は解決するのだろうか?
おそらく経営的な苦境は解決はしないだろう。
一時的に資金を援助してもらったとしても、収益が上がらなければなにも本質は変わらない。
いずれはまた資金調達に苦しむことになるであろう。
仮にここで援助を得るとしても、それはうわべだけの解決に過ぎない。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)には次のように書かれている。
少しだけなにかを実行するのであれば(うまくいくだろう)。大きなことはするべきではない。
またさらに、「一言アドバイス」にはこうある。
「できることを少しづつ進めていく」
今回の結果は、基本的には「今の自分にできることを少しずつ進めていきなさい」である。
このクライアントの場合、まずは商品やサービスの見直しからであろう。
「売れない」というのは、必ず理由があるはずだ。
商品がわかりづらいかもしれない。
高すぎるかもしれない。
商品の視点が、市場の要求と合致していないかもしれない。
あるいは営業のやり方に問題点があるのかもしれない。
新しい商品を開発していかねばならないかもしれない。
売り上げが上がらないのは、経営に問題があるからだ。 |
まずは自分が自力でできるところからやるべきだ。
このクライアントは、現在の経営の在り方に問題意識を持っているだろうか?
賁(ひ="Adorning")という卦(Hexagram)が意味する「装飾」は、形の固定を意味する。
悪く言えば、マニュアル通り、形式通りで現実と合致していないかっこよさである。
この人は一見、かっこよく経営者をやっているように見える。
しかし実力がまだ伴っていない。
経営者という外面があるだけである。
実力が伴わないから、商売に発展性がない。
なにかを変えていかなければならない。
本当の経営者にならねばならない。
そのために、まずは会社の現在の経営自体を見直すところからスタートするしかない。
そうした努力があって初めて、資金援助も有効になるのである。
現状のままで資金援助を受けても、意味はないだろう。 |
ちなみに、この結果から私は別なことも感じる。
親戚からの資金援助は、たぶん実現しない。
この卦(Hexagram)には、「うわべだけで誠意がない」という意味合いもある。
親戚はすでに三年が経過しても具体的に援助はしてくれていない。
親戚は、おそらくだが社交辞令的に「困っているなら援助してあげるよ」と言っているに過ぎない。
クライアントは資金繰りが苦しいので、親戚を頼りたい。
しかしそういう社交辞令は、どんな形でも実際の行動が確認できなければ、当てになるものではない。
すでに援助の話から三年。
援助は期待できない。
もちろん、親戚は今後援助してくれるかもしれないが、可能性は低い。
ここまでなにも進展しない話は当てにせず、地道に現実的にやるほうがいい。
この卦(Hexagram)は、「少しだけ進展がある」というもの。
他者に頼ろうとするのではなく、まだまだ改善余地があると考えて努力すべきだろう。
そうすれば、少しずつ状況は改善していく。
やがていい時期も訪れるであろう。
ケース2:変革をしたい安定企業の後継者!会社の刷新は可能か?
次のケースワークの題材となる卦(Hexagram)は、「既済(きせい="Already Fording")」である。
既済(きせい="Already Fording")は、「物事の完成」を意味するから、一見、良さそうに見える。
しかし、世界は常に変化するもの。
完成したものは、それ以上発展はしないから、状況が変化すればいつかは崩壊するのが自然の法則である。
なのでこの卦(Hexagram)はやはり全体的にかなり微妙な内容である。
クライアントの相談内容
次期社長の後継ぎの悩み。 |
父の事業を受け継ぐことにし、五年前から父の会社で働いています。
現在、父がまだ社長としてふるまっていて私は副社長です。
ところが、最近、父親の認知機能が衰えてきており、重要な手続き説明などが理解できない場面が増えました。
私に経営権を譲り、父には身を引いてほしいと思っているのですが、父は「俺がいなくなれば、この会社は終わってしまう」といい、受け入れません。
父は長年かけて会社を発展させてきました。
いまのところ経営は非常に安定しております。
実は今、銀行からの提案で、社屋を新しくしたり、新規の店を出店しないか、という話があります。
父は古い考え方以外は認めない人です。
彼は「今の状況でうまくいってるじゃないか。変える必要などない!新しい事業など不要だ!」と言います。
ですが今回のチャンス、私はどうしても生かしたい。
時代は変わってきていますから、うちの会社も事業を新しく見直していくべき時期ではないかと私は考えています。
父や役員を説得して、なんとか銀行からの融資を受け入れ、事業を刷新したいと考えていますが、見通しはどうでしょうか?
易経占いの結果
卦(Hexagram):既済(きせい="Already Fording")。
変爻(Change):93(下から三番目の爻)
NO.63 既済(きせい="Already Fording"):完成、袋小路 |
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)
「あなたは小さい願いはかなう。能力と立場が正しいから恩恵がある。初めは吉だが、最後は大荒れとなる。」
変爻(Change)93
「高宗(Gāo zōng)が蛮族を征伐した。三年かかってようやく打ち勝った。つまらぬ者は戦功があっても高い地位に取り立ててはならない。(疲れる)」
一言アドバイス
「先に起こる災い予測し、対策を立てよう」。
結果の分析
クライアントは、次期社長である。
現在も、父上の衰えで実務的なことを任されている。
変爻(Change)が出ている箇所は三番目の爻(Line)で、社会的な立場は軍司令官に当たるから、まさに彼の身分そのものである。
結論的に言えば、今回の占い結果を分析するに、現段階ではすぐには会社の刷新を実行できない。
時間がかかる。
「王が蛮族の制圧を行おうとして三年かかる」という表象だ。
蛮族とは王に従わない勢力。
おそらくだが、「蛮族」とは社内に事業刷新への反対者が少なからずいることを示唆する。
この卦(Hexagram)は、「完成」を意味する。
「完成」とは彼の会社の現状のことである。
物事は、これ以上発展しなくなった時が「完成」である。やがては混乱するのは必至。 |
父上は努力して経営し、今はそれなりに会社は安定している。
しかし、この卦(Hexagram)は同時に、「行き止まり」も意味する。
何事も、完成とは発展がなくなることだ。
最高の完成形は、新しい可能性がなくなることでもある。
この卦(Hexagram)には、「現在は順調だが、将来的には大変な混乱がやってくる」という意味がつきまとう。
父上の築いた会社の体制は、現在は順調でも近い将来、危機が訪れる可能性が高い。
卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)に、次のようにあるのはそのことである。
初めは吉だが、最後は大荒れとなる。
したがって、クライアントが今から会社の刷新を考えることは正しい。
時代が変われば、技術も変わるし、顧客の流れも変わる。
銀行から融資の提案もあるので、この刷新はいずれは可能となる。
だがそれを実現するには、父上をはじめとする反対者を「討伐」しなければならない。
「討伐」というのは、解雇するとか喧嘩するのでなく、相手を説得することである。
これには時間がかかる。
現段階ではまずは父上からして会社の刷新には反対するだろう。
こういう占い結果が出た場合、総合的に考える必要がある。
こういうケースでは、一言アドバイスが重要になってくる。
一言アドバイスは、次のようにある。
「先に起こる災い予測し、対策を立てよう」
クライアントが本気で会社の刷新を行おうとするならば、前途はまだ多難である。
まずは長期戦を見越して、社内の人間の説得をし、懐柔していく必要がある。
同意してくれる人間を増やすのだ。
事業継承は、古参の社員もいる。慎重に進めねばうまく進まない。 |
強引に会社の刷新を進めようとすれば障害だらけでマイナス面が多い。
まずはクライアント本人が社長になった場合の下準備から始めるべきだ。
どうせ父上はおそらくそう長くは職務を続けられない。
社内の人間を説得するにあたっては、理屈だけではなく総合的に考えるべきだ。
社内の人間と酒を飲みに行ったり、ゴルフに行ったりする中で、距離感を縮めていけばよい。
そうしながら、銀行とも話し合いを続け、時機を待つのである。
このクライアントは世の中の動きを的確に捉えているから、先に起こる困難を未然に防ぐことも可能だと私には感じられる。
非常に根気が必要だ。
しかし、そうやっていけば近い将来には会社の刷新は実現する、というのがこの結果から読み取れる未来である。
また、彼が社長に就任して新しい体制となる場合の人事も、今から考えておくべきだ。
彼の機嫌をとろうとして近づいてくる者もいるだろう。
変爻(Change)93の内容は、次のようにある。
つまらぬ者は戦功があっても高い地位に取り立ててはならない。
今から社内の人間をよく観察するといい。
誰が本当に会社にとって必要な人間なのかを観察するといい。
保身だけで物事を考える部下は、新しい体制を作る場合には邪魔になることも多い。
たとえ能力が高い人でも、この点で信用できない者は、幹部として扱うべきではない。
保身が強くて能力がある人は、報酬を十分に出してあげるべきだ。
しかし、幹部登用はしてはならない。
それが「つまらぬ者は戦功があっても高い地位に取り立ててはならない。」と書かれていることの意味である。
クライアントは今からそうした人事も含め、準備していくといい。
くれぐれも、短期で目的が達成できるとは思わないように。
この結果は、時間をかけて準備しながらやれば、時間はかかるし苦労はするが目的は達成できる、という内容なのだ。
短期決戦で収拾がつくような話ではないのである。
【易経占いケースワーク!】易経で微妙な結果が出た時は、人生を改めて考えるいい機会!
易経占いで結果が微妙な時は、人生を考えるチャンス! |
易経占いは、「幸運」か「不運」かを決めるものではない。
現代は「素早く実行」することが美徳とされる場合が多い。
しかし人生は、微妙なことが多い。
一般的な星占いなどは、「幸運」か「不運」かで書かれているものが多いが、易経の場合は非常に象徴性が高く、いろいろと解釈の可能性がある。
易経占いのポイントは、出た結果を自分に当てはめていろいろと「考える」ことである。
易経占いにおける「微妙な結果」は、「象徴をヒントに、いろんな角度で考えなさい」ということである。
自分の生き方を「考える」という機会は、実はそれほど多くはないものだ。
現代は、マニュアル化されていることが多い。
仕事であっても、その多くはルーチンワークだ。
指示されることを確実にこなしていけば優秀であるとみなされる場合が多い。
しかし人生にかかわる問題は、基本的に何事も微妙である。
生き方を「考える」ことを「哲学」という。
人生においては、択一式に解決することは少ない。
「考える」ことで、初めて納得できる道を歩むことができる場合が多いのだ。
すぐには結果が出ない場合も多い。
易経の世界は、人間世界そのものである。
障壁が発生したり、待たねばならなかったりする。
でも、そういう場合にも多くの意味がある。
易経占いで微妙な結果が出るときは、人生の意味を深く掘り下げて考えるまたとない機会である。
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