筮竹を使用する、伝統的な易経占いの方法をご紹介する。
このブログでは、硬貨三枚を使用する易経占いを紹介してきた。
硬貨三枚を使う方法で易経占いは十分に行うことができる。
しかし、古代から続く易経占いの方法も知っておいたらいいと思う。
今回のブログでは写真を交え、筮竹を使う占いを詳細に解説する。
伝統的な易経占い
私は、「世界中で、誰でも易経占いができる」ということをこのブログの目標としている。
なので、私はここでは硬貨三枚を使用するやり方でみなさんが占えるように解説を書いてきた。
硬貨を使うのであれば、世界中、どこでも道具は用意できるからである。
3000年以上の歴史を持つ、筮竹を使った易経占いは、現存する占いの中でも最古である。 |
しかし、みなさんの中には、易経占い本来の占い方、筮竹を使う方法に関心がある方はいらっしゃると思う。
以前から、私は伝統的な易経占いの方法もご紹介すると予告していた。
日本では、易経占いを行う占い師は、筮竹を使う人が今でも多数派である。
そこで、今回は、筮竹を使った易経占いの方法をみなさんにご紹介したいと思う。
筮竹50本
易経で使用する筮竹は、50本の竹の棒である。
古代中国では、葦の棒だったとも言われている。
日本では、竹の棒である。
日本ではいたるところに竹の林があり、竹は昔からいろいろな日用品の材料で使われてきた。
トーマス・エジソンが開発した電球のフェラメントは、日本の竹であった。
日本では、竹の棒は意外なところで入手できる。
おもちゃ屋、あるいは模型店だ。
「竹ひご(Takehigo)」という。
これは、なんに使う物か?
模型飛行機などの竹細工に使われる。
日本では昔から存在する模型工作用の素材なのだ。
まずは、この「竹ひご(Takehigo)」を手に入れる必要がある。
しかし、人口減少が激しい日本では、模型店もどんどん廃業している。
では、どうする?
心配する必要はない。
現代日本では、Amazonで竹ひご(Takehigo)が買える!
Amazonで検索すると、たくさん出てくる。
AmazonJapanで「竹ひご(Takehigo)3mm」で検索する。 |
しかし3mmの竹ひご(Takehigo)だと少し値段が高い。
AmazonJapanで「竹ひご(Takehigo)2mm」で検索する。価格は3mmよりも安い。 |
もっと細いもの、この写真のようなクラスで十分だ。
太さ1.8mm、長さ360mmの手軽な竹ひご(Takehigo)を発見! |
長さも360mmならば、易経占いには最適だ。
日本人の方には、この商品は最適だ。
※日本以外の国におられる方も、Amazonで探してみてください。
国際配送可能であれば、細めの「竹ひご(Takehigo)」は価格的にも手軽です。
植物の細い棒が入手できる国の人ならば、代用してもいい。
大自然の中で育った植物の茎は、オリジナルの易経占いで用いられていたものに最も近いと思います。
筮竹が手に入ったら
竹の棒は、易経占いでは50本必要だ。
長さは30cm-40cmくらい。
竹の棒50本を入手できた方から、以下に進もう。
他に必要なアイテムは、50本の筮竹で易経占いをする場合は、筆記用具くらいだ。
布はあってもなくてもいい。
ただし、布がないならば、机の上には紙とペンと50本の筮竹だけにすること。
机もきれいに拭いてから占いを行おう。
筮竹を使う易経占いでは、机の上は筮竹と筆記用具以外置かない。 |
それでは、まずは、硬貨三枚で占うのと同様、あなたはなにを占うかを、整理しよう。
紙に書き出してもいい。
準備できましたか?
では、始めよう!
筮竹50本を使った易経占い!
最初に注意!
筮竹50本で行う易経占いは、考え方としては硬貨三枚を使った易経占いと同じである。
なので、まずは最初に硬貨三枚を使った占い方を理解してからの方がわかりやすい。
今回は、硬貨を使用するこのブログでの易経占いをあなたがすでに理解していることを前提で、以下の手順をご紹介する。
全く初心者の方は、まずは硬貨三枚を使う易経占いを学んでください。
参考ページ:
易経占いとしての理論は、硬貨を使うのも筮竹を使うのも同じである。 |
筮竹50本で易経占いを行う場合、あなたは6回同じ作業を行う必要がある。
一回の作業では、あなたは三回、筮竹の束を分ける。
これを、「第一変(first change)」「第二変(Second change)」「第三変(third change)」と呼ぶ。
すなわち、この占いでは全部で18回、筮竹の束を分ける必要があるのだ。
それでは、一回目の作業の「第一変(first change)」から手順を追っていこう。
手順1 「太極」を作る
まずは、あなたは50本の筮竹から、1本を抜き出し、机に置く。
1本取り除いた筮竹は、「太極」を意味する。これはこの写真のように机の上の方に置く。これから行う作業を通じて、この一本は使わない。 |
これは、「太極」を表す。
太極とは、陰と陽が出てくる以前の、世界の始まりを意味する。
この1本は、このあとの手順においても使わない。
机の一番上の位置に横に置いておこう。
手順2 「第一変(First Change)」開始
最初の作業、「第一変(First Change)」を開始する。
残りの49本の筮竹を両手で持ち、あなたはそれをなにも考えずに、二つに分ける。
原初の「太極」から、世界が二つに分かれる。この動作が、易経占いでは最も重要である。何も考えず、集中してして筮竹を二つに分けよう。 |
左の手にある筮竹の束から一本だけ抜き出し、それを左の手の小指と薬指の間に挟む。
次の写真のようになる。
左手に握る筮竹の束から、一本を抜き取り、左手の小指と薬指に挟む。 |
左手に握ったほうが「天」を表す。
右手に握ったほうが「地」を表す。
そして、一本抜きだしたものは「人(A human being)」を表す。
手順3
左手に握った筮竹の束から、あなたは4本づつ引いていく。
筮竹の束から四本ずつ引いていく作業。これが筮竹を使った易経占いの基本動作となる。 |
4本、さらに4本、またさらに4本。
4本ずつ引いていって、最後に残る本数が重要。 |
この写真の例では、最後に1本が残った。 |
最後に残るのは、1本か2本か3本である。
4で割り切れる場合は0にはしないで4本を残す。
残った本数を写真のように、左手の薬指と中指の間に挟む。
最後に残った筮竹を、左手の薬指と中指に挟む。「人」を意味する1本は小指と薬指に挟んだまま。 |
手順4
今度は、右手に握った筮竹の束から、4本づつ引いていく。
4本、さらに4本、またさらに4本。
左手の筮竹の束と同じように、右手の筮竹も4本づつ引いていく。 |
右手側の場合も、4で割り切れる場合は0にはしないで4本を残す。
手順3で、左手に残った数が1本ならば、右手には3本残る。
手順3で、左手に残った数が2本ならば、右手には2本残る。
手順3で、左手に残った数が3本ならば、右手には1本残る。
手順3で、左手に残った数が4本ならば、右手には4本残る。
こうして右手に残った筮竹は、右手の薬指と中指に挟む。
右手の筮竹の残りは、右手の薬指と中指に挟み込む。左手と合わせて、ここでは5本が両手にある。 |
手順5
左手の小指と薬指に握った1本と、左手に残った本数と、右手に残った本数を合計する。
写真の例では、
「人(A human being)」を表す1本+左手の残り2本+右手の残り2本=5本である。
この写真の例では、「第一変(first change)」の作業で、5本の筮竹が残った。 |
ところで、左手に残る数が1本、2本、3本の場合は、最後の合計数はどれも5本だ。
左手に残る数が4本の場合のみ、最後の合計数は9本となる。
つまり、この「第一変(first change)」の結果は、5本or9本ということになる。
用意した紙に、結果を記入していこう。
※実は、筮竹で行う易経占いは、慣れてくれば左手の筮竹の残数がわかれば、結果はわかる。
手順6 「第二変(Second change)」
手順5で出た最終の筮竹の数、5本or9本を取り除き、太極の1本はそのまま。
この写真の例では、「第一変(first change)」の結果となる5本を取り除いて、再び筮竹を二つに分ける。ここからが「第二変(Second change)」の作業となる。 |
ここから「第二変(Second change)」を始める。
「第一変」の結果となる5本or9本を取り除くので、「第二変(Second change)」は太極の1本を除く44本あるいは40本で行うこととなる。
手順2と同様、なにも考えず、筮竹の束を2つに分ける。
そして手順2と同様、左手の束から「人」を表す1本を取り出し、左手の小指と薬指に挟む。
手順7
左手に握った筮竹の束から、あなたはここでも4本づつ引いていく。
ルールは「第一変(first change)」の時と同じ。
「第二変(Second change)」もやり方は「第一変(first change)」と同じ。ただし、最後の結果は、必ず4本か8本である。 |
あなたはまた同様に右手に握った筮竹の束からも4本づつ引いていく。
「人(A human being)」を表す1本と、左手の残数、右手の残数を最後に合計する。
「第二変(Second change)」の場合は、最後の合計は、4本or8本である。
この写真の例では、「第二変」の残数は8本となった。 |
手順8 「第三変(third change)」
手順7で出た「第二変(Second change)」の合計数である4本or8本を取り除き、残った本数で「第三変(third change)」を開始する。
「第三変(third change)」は、ずいぶん筮竹本数は少なくなる。だが同様に何も考えずに筮竹の束を二つに分けよう。 |
第一変(first change)、第二変(Second change)で結果で出た筮竹を取り除いているので、「第三変」は32本or36本or40本で行うことになる。
これまでの手順と同じに行う。
筮竹の束を二つに分ける
↓
「人(A human being)」を表す一本を左手の束から抜き出し、左手の小指と薬指に挟む
↓
左手の筮竹の束を4本ずつ数える
↓
右手の筮竹の束を4本ずつ数える
第三変(third change)も最後の結果は必ず4本or8本である。
手順9 易経記号を当てはめる
ここまでの結果を考えてみる。
「第一変(first change)」は、結果は必ず5本か9本。
「第二変(Second change)」は、結果は必ず4本か8本。
「第三変(third change)」は、結果は必ず4本か8本。
三回の結果において、「多い数」と「少ない数」がどのように出ているかで、次のように易経記号を記す。
・「多い数」×2+「少ない数」×1=陽(Yang)=易経記号は「⚊」
・「多い数」×1+「少ない数」×2=陰(Yin)=易経記号は「⚋」
・「多い数」×3=老陰(Old Yin)=易経記号は「×」
・「少ない数」×3=老陽(Old Yang)=易経記号は「□」
これで、第一爻(1st)が決まる。
※硬貨を使う占いができる人にはお分かりだと思うが、「第一変(first change)」「第二変(Second change)」「第三変(third change)」の結果は、「多い数」が硬貨の表(The front)に相当する。「少ない数」が硬貨の裏(The back)に相当する。
例
「第一変(first change)」の結果は5本→「少ない数」
「第二変(Second change)」の結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」の結果は8本→「多い数」
ここでの結果は、「多い数」×2+「少ない数」×1=陽(Yang)=易経記号は「⚊」
手順10 同じ作業を六回行おう
手順2から手順9までを、この後5回行う。
あなたはもうお分かりだと思うが、合計で6回、「第一変(first change)」「第二変(Second change)」「第三変(third change)」を行うことで、六つの爻(Lines)を出すのである。
出た結果については、行った順番に爻(Line)を下から積み重ねる。
ここからは硬貨三枚の占いと同じである。
これで、占いの結果としての「卦(Hexagram)」を得ることができる。
筮竹を使用した易経占いの例
メモの例。あなた自身がわかりやすいようにメモを取りながら筮竹易経占いを進めよう。この写真のようなスタイルで十分である。 |
1回目
「第一変(first change)」は、結果は9本→「多い数」
「第二変(Second change)」は、結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」は、結果は4本→「少ない数」
ここでの結果は、「多い数」×2+「少ない数」×1=陽(Yang)=易経記号は「⚊」
2回目
「第一変(first change)」は、結果は5本→「少ない数」
「第二変(Second change)」は、結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」は、結果は8本→「多い数」
ここでの結果は、「多い数」×2+「少ない数」×1=陽(Yang)=易経記号は「⚊」
3回目
「第一変(first change)」は、結果は9本→「多い数」
「第二変(Second change)」は、結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」は、結果は8本→「多い数」
ここでの結果は、「多い数」×3=老陰(Old Yin)=易経記号は「×」
4回目
「第一変(first change)」は、結果は5本→「少ない数」
「第二変(Second change)」は、結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」は、結果は4本→「少ない数」
ここでの結果は、「多い数」×1+「少ない数」×2=陰(Yin)=易経記号は「⚋」
5回目
「第一変(first change)」は、結果は9本→「多い数」
「第二変(Second change)」は、結果は4本→「少ない数」
「第三変(third change)」は、結果は4本→「少ない数」
ここでの結果は、「多い数」×1+「少ない数」×2=陰(Yin)=易経記号は「⚋」
6回目
「第一変(first change)」は、結果は5本→「少ない数」
「第二変(Second change)」は、結果は8本→「多い数」
「第三変(third change)」は、結果は4本→「少ない数」
ここでの結果は、「多い数」×1+「少ない数」×2=陰(Yin)=易経記号は「⚋」
以上の結果を下から積み重ねると、
5)⚋
4)⚋
3)×
2)⚊
1)⚊
「基本編1>64卦照合ページ」でこの卦(Hexagram)を検索すると、「NO.19 臨(りん="Nearing")」が該当。
3rd の爻(Line)が変爻(Change)。
このブログですでにご紹介した方法で結果を判断すればよい。
・変爻(Change)が1箇所出た場合は、変爻(Change)の箇所の爻辞(Explanation of the Lines)を中心に読む。
・変爻(Change)が出ない場合は、卦辞(Explanation of the Hexagram)を読んで判断する。
・変爻(Change)が複数箇所出る場合は、占いは最初からやり直し。
例に示された「NO.19 臨(りん="Nearing")」のケースは、
・変爻(Change)が1箇所出た場合は、変爻(Change)の箇所の爻辞(Explanation of the Lines)を中心に読む。
に該当する。
筮竹50本を使う易経占いの利点と問題点
以上が、最も正統とされている易経占いの方法である。
易経占いは、3000年以上昔の殷王朝の時代に存在したといわれる、植物の本数を数える占いをルーツとすると考えられている。
なので、この占い方には非常に古い伝統がある。
しかしながら、現代人がこの方法で易経占いを行うのは、問題も出てくる。
以下に、この占い方のメリットとデメリットを考えてみる。
筮竹を使った易経占いは、3000年以上前の占いの名残である。 |
利点
1、手順が複雑であるため、あなたは余計なことを考えないで占うことができる。
2、伝統的に行われている方法であるため、プロセスに象徴的な理由があると推測できる。
3、時間に余裕のある方が、無意識領域にアクセスするためのいい方法である。
4、他者のことを占ってあげるにはいい方法。だから、日本の占い師は筮竹50本を用いることが多い。
問題点
1、占うのに時間がかかる。
2、手続きが複雑。
3、集中力を持続させる必要がある。なので、忙しい人には不向き。
筮竹50本を使う易経占いは、時間がかかりすぎる!だが・・・
最大の問題は、この方法は時間がかかりすぎることであろう。
手慣れた人でも、この占い方を行うと、六つの爻(Lines)を出すのに20分程度かかってしまう。
特に、私たちが、「変爻(Change)が複数箇所出ている場合は、占いは最初からやり直し」というルールで行うとすると、やり直すにも非常に時間がかかってしまう。
なので、この占い方では、複数の変爻(Change)がある場合は、古来、「卦辞(Explanation of the Hexagram)を読んで判断する」というルールが適用されてきた。
しかし、易経の性質から考えると、やはり複数の変爻(Change)の場合は、占いを最初からやり直すべきである。
だが時間がない人の場合は、非常に手間と時間がかかるものだから、簡単には占いのやり直しができないであろう。
硬貨を使用する方法は、短時間の集中でできるし、やり直しも簡単にできる。
なので、私は硬貨を使う方法を推奨している。
でも、筮竹50本を使う方式でないと集中できない、という人もいる。
筮竹を使用する易経占いは手間がかかる。だがそこに意味があるのかもしれない。 |
いずれにせよ、筮竹50本を使う方式と硬貨三枚を使う方式は、原理はほぼ同じである。
どの方法が最適とも言い切れない。
もしあなたが、筮竹50本を使って易経占いをやってみて、そちらがあなたには向いていると感じるようであれば、今回ご紹介する方法で易経を使うのもいいと思う。
筮竹50本を使う占い方の応用
今回ご紹介した伝統的な方法は、他の道具で応用することもできる。
たとえば、カード50枚を使って行うこともできる。
ただし、カードはどれも無地であるか、同じ柄であることが望ましい。
一般的なトランプなどは適さない。
易経で使うカードは、すべてが無個性で、属性をもっていないものであるべきだ。
一般的なトランプは、各カードに属性があるので易経占いには適さないのである。
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